『式年遷宮を見届け、その叡智の神髄を「映像」で探ることを決意した監督 宮澤正明。「なぜ日本人はこの儀式を絶やさず、祈りを捧げ続けてきたのか。」 との想いを胸に、神宮の森から木曽の大檜林、白神山地など全国各地の森へと旅を続ける内、見えない糸に導かれるように賢人達に出会います。漁師 畠山重篤と共に木を植え、宮大工棟梁や世界的科学者の話に耳を傾け、隈研吾と北野武に宇宙観を聴く……。
日本中をめぐって自然と人とを紡いだこのドキュメンタリーは、まさに「うみやまあひだ」に生きる日本の心を探った旅の記録。』
「神は空気さえも誰にでも無差別に与えて下さっています。」
9年前、森に包まれた伊勢神宮内宮参道内を歩きながら神官の方から聞いたその一言が、正に私の伊勢神話への旅のはじまりでした。
二千年にも及ぶ悠久の時を超えて、太古の人々が森と言う名の神と共存し現代の日本人に伝へ、そして全ての人間の深層に、まるでDNAに刻印の様に焼き付けられた循環再生を通じて得た自然と向き合って来た記憶。そしてその先の感謝の祈り。
この映画は十年間伊勢神宮を追い続け、その記憶を探る旅に出た写真家が出したひとつの答えの集大成だと思っています。
写真では表現出来ないことへの枯渇した想いが映画という新たな表現を呼び込んだのかも知れません。
監督 宮澤正明
2018 © masaki miyazawa.